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トックリ出会サイト属
トックリ出会サイト属(徳利鯨属、Hyperoodon)はハ出会サイト亜目アカボウ出会サイト科に属する属の一つである。 同じアカボウ出会サイト科のオウギハ出会サイト属、タイヘイヨウアカボウモドキ属に似ており、これら3属でトックリ出会サイト亜科 (Hyperoodontinae) を構成する。
トックリ出会サイト属に属するのはキタトックリ出会サイト(北徳利鯨、Hyperoodon ampullatus)とミナミトックリ出会サイト(南徳利鯨、Hyperoodon planifrons)の2種の出会サイトである。
[編集] 概要
キタトックリ出会サイトとミナミトックリ出会サイトはともに比較的寒冷な海域に棲息する。 従来はこれら2種は身体的な類似点が多いとされていたが、近年ではむしろ違いが大きいことがわかってきている。 キタトックリ出会サイトは19世紀から20世紀初頭までノルウェーとイギリスによって大規模な商業捕鯨の対象とされていた。 ノルウェーは1973年にキタトックリ出会サイトの捕獲を中止した。 一方、ミナミトックリ出会サイトは滅多に観察されることもなく、捕鯨の対象とされたこともなく、南極海において最も多数棲息している出会サイトであろうと考えられている。
和名のトックリ(徳利)は頭部の形状が徳利に似ていることに由来する。属名はギリシャ語で「上・超」を意味する「hyper- (υπερ-)」と「歯」を意味する「 donti (δ?ντι)」 を合わせたもの。本属の上顎に歯は無いが、1798年のBaussardという学者による「上顎に小歯がある」という記述を信じたLacepedeが属名を付けたもの。この「小歯」は実際には上顎の骨質のシワを「歯」と誤認したものとされる。
[編集] 分類
トックリ出会サイト属 Hyperoodon
模式種は Hyperoodon butskopf Lacepede, 1804(= Hyperoodon ampullatus キタトックリ出会サイト)(単模式)
キタトックリ出会サイト Northern Bottlenose Whale, Hyperoodon ampullatus
ミナミトックリ出会サイト Southern Bottlenose Whale, Hyperoodon planifrons
[編集] 身体
トックリ出会サイトは2種とも成体の体長は8mから10mに達し、全体的に丸っこい体型である。 特に頭部メロンは丸く、前方に飛び出している。 口吻は長く、雄は白、雌は灰色である。 背びれは30cmから38cmで体長の割には小さく、背の中央よりも後側(尾側)に位置し、鎌状に曲がっていて、先端は尖っている。 背側の体色は、キタトックリ出会サイトは灰色、ミナミトックリ出会サイトはやや明るい灰色である。 2種とも腹側はより明るい灰色である。 また雄の方が雌や子供に比べると濃い灰色であり、多くの雄が濃い灰色から黒に近いのに対し、多くの雌や子供は明るい灰色から白に近い。
[編集] 生息数と生息域
キタトックリ出会サイトは北大西洋に固有な種である。 デーヴィス海峡、ラブラドル海、グリーンランド海、バレンツ海などの寒冷な亜北極圏の海域に棲息する。 水深の深い海域を好む。 全生息数不明であるが、およそ数万頭であると考えられる。 カナダのノヴァスコシア州の東沖にあるザ・ガリー (en:The Gully) と呼ばれる巨大な海底渓谷には130頭ほどが定住している。
ミナミトックリ出会サイトは南極海に棲息する。 生息域の南限は南極大陸の極近くまで、北限は南アフリカ、ニュージーランド北島、ブラジル南部あたりである。 全生息数はおそらく50万頭を超えるだろうと考えられている。
熱帯や亜熱帯における目撃例も報告されているが、おそらくタイヘイヨウアカボウモドキ(同じトックリ出会サイト亜科に属する珍しい出会サイト)の間違いであろうと考えられる。 他のアカボウ出会サイト類との関係はまだ明らかにされていない。
[編集] 保護
ミナミトックリ出会サイトについては特に懸念点はない。
キタトックリ出会サイトは、商業捕鯨が盛んになる以前には大西洋に4万から5万頭が棲息していたと推測されている。 1850年から1973年までに8万8千頭が主にノルウェーとイギリスによって捕獲されたため、生息数はかなり減少したと考えられる。 捕鯨は1973年に中止されたためその点に関する懸念はなくなったが、ザ・ガリー (The Gully) 付近における石油や天然ガスの開発が新たな問題として浮上している。
2006年1月20日、キタトックリ出会サイトの雌がロンドン中央部のテムズ川で見つかった[BBC News]。 テムちゃん (en:River Thames whale) はアルバート橋 (en:Albert Bridge) まで遡上した。 はしけに乗せて海まで運んで救出することが試みられたが、翌21日に死亡した[BBC News]。
オウギハ出会サイト属

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オウギハ出会サイト属(扇歯鯨属、Mesoplodon)は、出会サイト目ハ出会サイト亜目アカボウ出会サイト科に属する属の一つ。 オウギハ出会サイト属には14種が属し、出会サイト目の中では最も大きい属である。 同じアカボウ出会サイト科のタイヘイヨウアカボウモドキ属、トックリ出会サイト属に似ており、3属を合わせてトックリ出会サイト亜科 (Hyperoodontinae) とすることも多い。
大型哺乳類としては最も不明な点が多い種類の一つである。 1991年にはピグミーオウギハ出会サイト (Mesoplodon peruvianus) が、2002年にはペリンオウギハ出会サイト (Mesoplodon perrini) がそれぞれ新種として発見されており、今後も更に新種が発見されるだろうと考える海洋生物学者も多い。
属名のMesoplodonはギリシア語のMeso(中央)-hopla(備える)-odon(歯)に由来する。 和名のオウギハ(扇歯)は、歯の形状が扇に似ていることに由来する。
[編集] 分類
オウギハ出会サイト属 Mesoplodon
ニュージーランドオウギハ出会サイト Hector's Beaked Whale, Mesoplodon hectori
アカボウモドキ True's Beaked Whale, Mesoplodon mirus
ヒガシアメリカオウギハ出会サイト Gervais' Beaked Whale, Mesoplodon europaeus
ヨーロッパオウギハ出会サイト Sowerby's Beaked Whale, Mesoplodon bidens
ミナミオウギハ出会サイト Gray's Beaked Whale, Mesoplodon grayi
ピグミーオウギハ出会サイト Pygmy Beaked Whale, Mesoplodon peruvianus
タイヘイヨウオウギハ出会サイト Andrews' Beaked Whale, Mesoplodon bowdoini
バハモンドオウギハ出会サイト Spade Toothed Whale, Mesoplodon traversii (Bahamonde's Beaked Whale, Mesoplodon bahamondi)
ハッブスオウギハ出会サイト Hubbs' Beaked Whale, Mesoplodon carlhubbsi
イチョウハ出会サイト Ginkgo-toothed Beaked Whale, Mesoplodon ginkgodens
オウギハ出会サイト Stejneger's Beaked Whale, Mesoplodon stejnegeri
ヒモハ出会サイト Layard's Beaked Whale, Mesoplodon layardii
コブハ出会サイト Blainville's Beaked Whale, Mesoplodon densirostris
ペリンオウギハ出会サイト Perrin's Beaked Whale, Mesoplodon perrini
タイヘイヨウアカボウモドキ (Indopacetus pacificus) をこのオウギハ出会サイト属に分類することもあるが、1960年代に生物学者ムーア (Joseph Curtis Moore) がタイヘイヨウアカボウモドキ属 (Indopacetus) として分類して以降はタイヘイヨウアカボウモドキ属に分類することが多い。
[編集] 身体
オウギハ出会サイト類の体長は3.5mから6mであり、ハ出会サイト亜目としては小型あるいは中型であり、同じアカボウ出会サイト科のトックリ出会サイトやツチ出会サイトよりも小さい。 雌は雄と同程度の大きさか、あるいは雄よりも若干大きい。 雄の体表は大胆な配色であり、歯の生え方に特徴がある。 オウギハ出会サイト類の一部は下顎が大きなアーチ状になっており、中には公園の滑り台の手すりのように上顎との噛み合わせの部分から外側にはみ出す種類もいる。 多くのオウギハ出会サイト類の歯は下顎に2本あるだけで、牙のような歯を持つ種類もいる。 ただしミナミオウギハ出会サイトは例外であり、上顎に多数(17から22対)の非常に小さな歯を有する。
多くのオウギハ出会サイト類の雄の体表には、別の雄と争ってできた噛み傷が多数あることが多い。 雌雄ともにダルマザメによる噛み傷があることが多い。 背びれは比較的小さく、頭部から測って2/3から3/4くらいに位置する。 寿命、妊娠期間、授乳期間などは不明である。
[編集] 生態
多くのオウギハ出会サイト類は観察されることが非常に稀であるため、不明な点が多々ある。 一部には、漂着した死骸のみが確認されており、生体での確認例はないといった種類もある。 群を成して行動するのが一般的であり、群は雌雄に分かれているようである。 海上での泳ぎは非常にゆっくりであり、はっきりした潮吹きをしない。 尾部を水面上に持ち上げることも稀である。 非常に深くまで潜水することが可能であり、食料はほぼイカのみである。
[編集] 生息数、保護
生息数は不明である。 直接には捕鯨の対象とはなっていないが、日本によって捕獲されることが時折ある。 刺し網による混獲の被害も確認されているが、生息数への影響の有無は不明である。

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ニュージーランドオウギハ出会サイト(新西蘭扇歯鯨、Mesoplodon hectori)はハ出会サイト亜目アカボウ出会サイト科オウギハ出会サイト属に属する小型の珍しい出会サイトである。 南半球に棲息する。 2002年時点において、生きている個体の観察例は報告されていない。
種小名のhectoriおよび英名(Hector's Beaked Whale:ヘクターのオウギハ出会サイト)は、スコットランドの地質学者でありニュージーランドのウェリントンにある植民地博物館 (colonial museum) の創始者でもあるジェームズ・ヘクター卿 (en:James Hector) に由来する。
アメリカのカリフォルニア州において、ニュージーランドオウギハ出会サイトの座礁や目撃が報告されたことがあるが、全てぺリンオウギハ出会サイト (Mesoplodon perrini) の誤認であったことがわかっている。
[編集] 身体
オウギハ出会サイト類としては典型的な体型であるが、オウギハ出会サイト属の中では小柄な種類である。 雄の特徴である三角形の歯が下顎の先端に2本生えており、口を閉じている時でもそれらの歯が見える。 体色は全体的に灰色であり、背側は濃い灰色、腹側は明るい灰色である。 上顎や眼の周囲は濃い灰色であるが、下顎は白に近い灰色である。 雄の体長は少なくとも4mであるが、雌の体長は不明である。 生まれた直後の体長は2m以下であると考えられている。
[編集] 生態
生態は不明であるが、おそらくイカを食べるだろうと考えられている。
[編集] 生息域、生息数
おそらくニュージーランド周辺に多く棲息するだろうと考えられている。 タスマニア、南アメリカ、フォークランド諸島、南アフリカにおいて座礁例が報告されている。 生息数は不明である。
[編集] 保護
捕鯨の対象となったことはない。 漁具による混獲の犠牲になったという報告もない。 IUCNのレッドリストにおいてはDD(Data Deficient−情報不足)に分類されている。

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アカボウモドキ(赤坊擬、Mesoplodon mirus)はハ出会サイト亜目アカボウ出会サイト科オウギハ出会サイト属に属する小型の出会サイトである。 生息域は北大西洋と南インド洋とに分かれており、別の亜種として分類される可能性もある。
和名のアカボウモドキ(赤坊擬)は外観がアカボウ出会サイト (Ziphius cavirostris) に似ていることに由来する。 英名のTrue's Beaked Whale(トゥルーのアカボウ出会サイト)はアカボウモドキを新種として報告した生物学者のトゥルー (en:Frederick W. True) に由来する。
[編集] 身体
アカボウモドキはオウギハ出会サイト類としては典型的な体型であるが、胴部は太く、尾びれ方向に向かって細くなっている。 雄の特徴である2本の歯は比較的小さく、下顎の先端部に位置している。 頭部のメロンは比較的ふくらんでおり、口吻は短い。 噴気孔の後に窪みがあり、背の背びれ付近には鋭い隆起がある。 体色は、背側は灰色あるいは茶色がかった灰色であり、腹側はより明るい灰色である。 口吻、眼の周囲、背びれの周辺は濃い灰色である。 頭部から背びれにかけて濃い灰色の模様を有することもある。 青みがかった黒色の背、背びれと尾びれの間が白、下顎から喉にかけては明るい灰色、さらに黒い斑点を持つ、という雌の個体が南半球で見つかったことがある。 雄の個体はダルマザメに噛まれた跡などの引っかき傷があることが多い。
成体の体長は5.3m程度、体重は雌が1,400kg、雄が1,000kg程度である。 産まれた直後の体長は2.2mほどである。
[編集] 生態
比較的小さな群を成して行動することが多く、イカを食べると考えられている。 その他のことについてはあまりわかっていない。
[編集] 生息域、生息数
生息域は北半球の北大西洋と南半球の南インド洋とに分かれており、これらはおそらく遺伝的に異なるものと考えられている。 南大西洋や北インド洋には棲息しておらず、熱帯の海域にも棲息していない。
大西洋については、西大西洋のカナダノヴァスコシア州、東大西洋のアイルランド、南はフロリダ州、バハマ、カナリア諸島において座礁が報告されている。
インド洋については、南アフリカ、オーストラリアにおいて座礁が報告されている。
全生息数は不明であるが、おそらく少数であろうと考えられている。 IUCNのレッドリストでは「情報不足」 (DD - Data Deficient) に分類されている。
[編集] 保護
捕鯨の対象となったことはない。 漁網などによる混獲の被害の報告もない。

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ヒガシアメリカオウギハ出会サイト(東アメリカ扇歯鯨、Mesoplodon europaeus)はハ出会サイト亜目アカボウ出会サイト科オウギハ出会サイト属に属する小型の出会サイトである。 2002年時点では生体が見つかった例は報告されておらず、非常に珍しい出会サイトである。
種小名のeuropaeusは「ヨーロッパの」の意味である。 和名のヒガシアメリカ(東アメリカ)は生息域がアメリカの東海岸沖の大西洋であることに由来する。 英名のGervais'はこの出会サイトを新種として報告したフランスの古生物学者であるポール・ジェルベー (Paul Gervais) に由来する。他の英名としてはAntillian Beaked Whale、Gulf Steam Beaked Whale、European Beaked Whaleなどが知られる。
[編集] 概要
ヒガシアメリカオウギハ出会サイトの座礁(ストランディング)が初めて報告されたのはイングランドの海岸である。 その後、アイルランド、カナリア諸島、西アフリカ、アセンション島などで座礁が報告されている。 2001年8月にはブラジルのサンパウロ州における座礁例が報告されており、これが最南端の座礁例である[Santos 2003]。
アメリカの大西洋側海岸において、アカボウ出会サイト類として最も座礁数が多いのがヒガシアメリカオウギハ出会サイトである。 1992年から1998年の間に、アカボウ出会サイト類の座礁は49頭が報告されているが、うち28頭がヒガシアメリカオウギハ出会サイトである[CMC]。
[編集] 身体
ヒガシアメリカオウギハ出会サイトはオウギハ出会サイト類としてはすらっとした細身であり、前後方向に延びているような印象を受ける。 雄の特徴である下顎の2本の歯は比較的小さいためあまり目立たない。 上下の唇の形状は、雄の場合でも直線的であるという特徴を持つ。 頭部は小ぶりでメロンはほとんどなく、口吻方向に向かって細まっていく形状であり、口吻は明確ではない。
体色は全身が灰色であり、背側は濃い灰色、腹側は明るい灰色である。 雌の場合、眼の周囲に濃い灰色の輪状の模様や、生殖器周辺や頭部に明るい色の斑点状の模様を持つことがある。 若い個体の体色は明るい灰色を基調とするが、成長にするに従って暗い色に変化していく。
成体の体長は雄が4.5m、雌が5.2m程度であり、体重は1,200kgを超えると考えられる。 産まれた直後の体長は2.1m程と考えられる。
寿命は不明であるが、座礁した個体について48歳という調査結果が報告されている。
[編集] 生息域、生息数
北半球を中心とする大西洋の温帯から熱帯にかけての海域に棲息する。
全生息数は不明であるが、おそらく少数であろうと考えられている。 IUCNのレッドリストでは「情報不足」 (DD - Data Deficient) に分類されている。
[編集] 生態
外洋性である。 座礁の状況からの推測では比較的小さな群を成して行動すると考えられる。 イカを食べると考えられている。 その他のことについてはあまりわかっていない。
[編集] 保護
捕鯨の対象となったことはない。 漁網などによる混獲の被害の報告は少ない。
その他
関連項目
- フィオミア(ゾウ目)
- プティロドゥス(多丘歯目)
- プラティベロドン(ゾウ目)
- プリオヒップス(ウマ科)
- プレシアダピス(サル目)
- プロコンスル(サル目)
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